りゅう座の物語
「りゅう座」は、ギリシャ神話では、世界の西の果てのヘスぺリデス園で大神ゼウスと女神ヘラの大切な黄金のリンゴの木を守る役目をしていた守り竜ラドンの星座だと言います。
ラドンは百の頭を持った竜です。
ギリシャ神話では、ヘラクレスがエウリステウスの命令で12の大冒険を行いましたが、その中の11番目が、「黄金のリンゴを持ってくること」でした。
しかし、ヘラクレスはヘスぺリデス園が何処にあるのかも解りません。そこで賢者プロメテウスをコーカサスの山に訪ねてゆき、鎖でつながれて毎日鷲につつかれている終わることのない苦しみを哀れに思い、鷲を殺しプロメテウスの鎖を解いてやりました。プロメテウスはリンゴの木の世話をしている娘がいるアトラスにリンゴを持って来てもらうがいいと教えます。世界の西の果ての一番高い山で天を支えているアトラスのもとまで、何度も危ない目にあいながらとうとう辿り着いて、プロメテウスから聞いてリンゴを採って来てほしいために来たのだと頼みました。するとアトラスは「娘たちからリンゴを貰ってこよう。だが、その間天を支えていてくれないか」と言われ引き受けるのでした。さすがの怪力ヘラクレスも天の重さは想像以上で耐えかねません。やがてアトラスが首尾よくリンゴを貰ってきてくれて、無事に11番目の命令を成し遂げました。
この黄金のリンゴの木から、どうやってリンゴを持って来てもらったかにはいくつかの神話があり、守り竜ラドンが居眠りをしてしまい大切な黄金のリンゴを奪われてしまったという話と、ヘラクレスがアストラが尻込みしているので、遥か山の彼方を見ると、黄金のリンゴの木に竜が巻き付いている姿が見え、猛毒ヒドラの血が塗られた矢を放ちラドンを殺しアストラの娘たちにリンゴを持って来てもらったという話があります。どちらもギリシャ神話として言い伝えられています。
大切なリンゴでしたが、ながいながい間を守り続けてくれたのだからとラドンはヘーラ女神に功績を讃えられりゅう座になったと言います。哀しい物語が多い神話ですが、このギリシャ神話は、心温まるお話しですね。