こと座の物語
こと座は古代の楽器「竪琴」の形をしていて、夏の星座の中で最も輝いている1等星ベガがあります。
日本では七夕の「織り姫星」と呼ばれ、北欧では「夏の夜の女王」と呼ばれています。こと座はギリシャ神話ではオルフェウスの竪琴といわれています。
音楽の神アポロンから与えられた竪琴でギリシャ一の詩人であり音楽家となったオルフェウスは、美しいニンフのエウリディケと結婚しますが、ある時、突然の事故でエウリディケは亡くなってしまいます。後を追い冥界へ行くオルフェウスは美しい竪琴の音色で冥界の王ハデス神の許しを請います。ハデス神はオルフェウスに妻を返すと約束するのですが、それにはひとつ条件があります。「冥界を出るまで後ろを振り返ってはならん!」と命じます。オルフェウスは妻を取り戻すことが出来ると喜びいさんで地上へ向かいます。けれどもついて来るはずの妻の足音が聞こえません。オルフェウスは不安になり、あと一歩で地上に出るというところで振り返ってしまいます。するとそこにいた妻は煙のように消えてしまったのです。後悔と深い悲しみに耐えかねて、オルフェウスは息絶えてしまいました。これを哀れと思い、音楽の神アポロンは彼に贈った竪琴を夜空の星としてこと座を輝かせているといいます。
中国には、七夕の夜に鵲(カササギ)達が天の川の上に翼を広げて橋を作って、彦星に会いに行く織姫を渡したという「七夕伝説」も残っています。カササギは恋のキューピッド的な存在のようです。